原稿を読む時、読み聞かせをする時、歌を唄う時などに、「棒読み」にならないためのコツを紹介します。
- じっくりと台詞を読む
- 内容を理解する
- 登場人物の気持ちになる
- 読点を意識する
- 間を取る
- 間の長さを変える
- 読む速さを変えてみる
- 声の高低を利用する
- 声に笑いを入れる
- 声に動きを入れる
- 涙声になってもいい
- 聞き手に合わせて話す
- 長い沈黙も味になる
- まとめ
1. じっくりと台詞を読む
もし物語を読むのなら、その物語の台詞をじっくりと読みましょう。
ほとんどの物語の台詞には、様々な意味が込められています。
「おはよう」という台詞にも、単純な挨拶というだけではなく、様々な発言者の心理状態が込められています。
仮にカップルが一夜を過ごして朝を迎えた時に、彼が「おはよう」と言ったとします。
ラブラブなふたりなら、彼の「おはよう」には、これから楽しい一日が始まるウキウキした気持ちが含まれるでしょう。
明るい口調で台詞を読むと良いでしょう。
仮に前の晩に別れ話をした後の「おはよう」なら、本当に別れることになってしまうのかという不安な気持ちが台詞に込められているでしょう。
暗いトーンで台詞を読むべきです。
このように同じセリフを読む時も、登場人物の背景次第で同じ読み方にはなりません。
棒読みになってしまう人は、まず本や台本、歌詞などをじっくり読むようにしましょう。
2. 内容を理解する
本や台本、歌詞などをじっくり読むと、話の内容が理解できます。
もし理解できない場合、基本的な知識が足りないことがあります。
例えば「中世のオーストリア」が舞台になっている話を読む時に、オーストリアがどのような国か、さらに中世のヨーロッパがどのような雰囲気かを知っている必要があります。
じっくりと本を読んでも、内容が理解できないと思ったら、その本に描かれている舞台のことを調べてみましょう。
さらに知らない単語があったら、辞書で調べながら読み進めるようにしましょう。
3. 登場人物の気持ちになる
物語や歌詞の内容が理解できたら、登場人物がどのような気持ちでその台詞を言ったのかが理解できると思います。
悲しい気持ち、やりきれない気持ち、嬉しい気持ちもあるけれど不安な気持ちも強いなど、様々な気持ちが入った台詞です。
先ほどはワクワクした時は明るい口調で、不安な気持ちの時は暗いトーンで読むという提案をしましたが、もっと自由に「登場人物になりきる」ことも必要です。
よく憑依型の役者さんと呼ばれる人がいます。
テクニックで台詞を読むのではなく、まるで登場人物が役者に乗り移ったように、その人になりきったように台詞を話せる人です。
このような人は、決して棒読みにならず、微妙で繊細な抑揚をつけながら台詞を話します。
ぜひ自分が憑依型かどうか試す意味でも、登場人物になりきるつもりで台詞を言ってみましょう。
4. 読点を意識する
文章には「読点」が入っているはずです。
「、」と表現されているのが読点です。
読点があると、文章が読みやすくなります。
また、読点があると、間を取りながら文章を読むことができます。
「君が好きだ」と「君が、好きだ」では、心の中で聞こえてくる自分の声が違うはずです。
文章を読む時は、読点に注目して読むようにすると棒読みになりにくいでしょう。
5. 間を取る
読点がある時に、間を取るようにすると棒読みを防ぐことができます。
先ほどの「君が好きだ」と「君が、好きだ」では、後者のほうが棒読みになりにくいでしょう。
それは「君が」で一度区切り、少しタメを作ってから「好きだ」というため、「好きだ」という台詞に重さが出るためです。
より好きだという気持ちに真剣さが出るでしょう。
読点が出る度に間を取るようにするだけで、棒読みはかなり改善されるはずです。
6. 間の長さを変える
読点が出たら、間を取るようにします。
さらに時には、「間の長さを変える」と良いでしょう。
「君が、好きだ」の「、」の間を、1秒にしたり、2秒にしたりします。
思い切って「君が」から「好きだ」の間を10秒取るのも良いでしょう。
とにかく棒読みを避けたい場合は、読点では間を取る、さらに間の長さを変えてみることを心掛けるだけも効果があるでしょう。
7. 読む速さを変えてみる
台詞を読む速さを変えると、棒読みに聞こえにくくなります。
一段落目はゆっくり、二段落目は速く、三段落目はかなりゆっくりと読む、このように読む時のスピードに変化を付けると棒読みではなくなります。
ひとつの文章の前半部分を速く、後半部分をゆっくり読むこともできます。
比較的簡単に棒読みを防ぐことができる方法です。
8. 声の高低を利用する
「あ」と言う時も、高い声で「あ」と言う時と、低い声で「あ」と言う時は、相手の感じ方が大きく変わります。
このように人の声には、「高低」があります。
誰にでも「ドレミファソラシドレミファソラシド」くらいの音階が、声の高低としてあるはずです。
台詞を読む時に、音階を意識しながら読んでみると良いでしょう。
今回は「あ」は低い方の「ド」で、次の「あ」は高い方の「ミ」で読もうなどと意識するだけで、棒読みにはならないはずです。
9. 声に笑いを入れる
例えば「君はバカだな」という台詞を読む時に、「バカ」という部分に「笑い」を入れる方法があります。
本当に笑うような、吹き出すようなニュアンスを入れながら「バカ」と言ってみましょう。
すると本当にバカだと思っているよりも、「バカなほど可愛いな」などというニュアンスを台詞に込めることができます。
少なくとも発言者が本気で怒っていないことは伝わるでしょう。
子どもと接する時の大人の台詞には、笑いが含まれていることが良くあります。
子どもを持つ夫婦の会話を聞いてみると理解できるでしょう。
声に笑いを入れることは、棒読みを防ぐためにも効果的な方法です。
10. 声に動きを入れる
「声に動きを入れる」のは簡単で、実際に動きながら台詞を話すだけです。
登場人物が走りながら台詞を言っているのなら、同じように走りながら台詞を言うと、声に動きが入ります。
11. 涙声になってもいい
登場人物の気持ちになって文章を読むと、悲しい物語の場合は涙が出るかもしれません。
涙声になってしまったら恥ずかしいと思うかもしれませんが、自然に涙声になったのなら、それは最高の演出になります。
棒読みとは対極をなす状態でしょう。
12. 聞き手に合わせて話す
楽しい物語を読み聞かせしている時に、例えば子どもが笑ってしまい、笑いが止まらない場合があります。
このような時は、相手の笑いが収まるまで、文章を読むのを止めましょう。
聞き手の状態に合わせながら文章を読むと、それだけで上手に聞こえます。
13. 長い沈黙も味になる
読点が出た時に、間を取るように言いましたが、長い間を取ると「沈黙」になります。
時には沈黙も味になります。
ここぞという場面で沈黙を作るくらい間を取ってみましょう。
まとめ
棒読みになりやすい人は、文章を理解すること、登場人物の気持ちになることなどが大切です。
また読点で間を取るなどの「テクニック」を使うだけでも、棒読みの感じを与えにくくなります。
まずはテクニック部分だけでも真似てみましょう。