「サイサリス」とは、日本名で「ほおずき」のことです。
ナス科ホオズキ属の植物です。
5月〜6月頃花を咲かせ、その後受粉すると萼が伸びてきて実を包みます。
初めは緑色をしている萼の袋が濃いオレンジ色に変わる8月〜9月が観賞出来る時期です。
7月初旬の浅草寺のほおずき市は毎年60万人もの人で賑わいますね。
江戸時代から続いているほおずき市ですが、この時期は本当はほおづきの萼は緑色なのですが、ほおずき市に合わせて植物成長調整剤で成長を速めています。
ほおずきの露店は120軒も出店します。
中の実は、昔はほおずき笛やほおずき人形で子供達が遊んでいました。
では、ほおずきの花言葉やマメ知識等を見ていきたいと思います。
- サイサリスとはどんな花?
- サイサリスの花言葉
- サイサリスについて解説
- サイサリスの名前の由来
- サイサリスの誕生日花の日
- サイサリスの種類(原種・園芸品種)
- サイサリスに似た花(花言葉や特徴)
- まとめ
1. サイサリスとはどんな花?
- サイサリスの花
- サイサリスの育て方
- 植え付け
- 日当り・水やり
- 肥料
- 害虫・病気
1-1. サイサリスの花
サイサリスは東アジア原産で、草丈は30cm~1m位まで育ちます。
花は、白やうすいクリーム色の花が6月〜7月に咲きます。
花の大きさは花径1〜2cm程で、ナス科の花とよく似ています。
ただ、花の中心は黄色くはなく、中心部に緑色の模様がありめしべやおしべはクリーム色をしています。
1-2. サイサリスの育て方
サイサリスは耐寒性にも耐暑性にも強く、育てやすい植物なので、初心者でも失敗無く育てられます。
1-3. 植え付け
サイサリスは水はけと水もちの良い土を好みます。
その為、赤玉土中粒5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2の土に緩効性の化成肥料を混ぜます。
植え付けは3月〜4月です。
庭植えだと大きくなり過ぎることがあるので、6号(18cm)以上の大きな鉢に種を植えます。
土は薄く被せます。
株分けで増やす場合は地下茎を切ると株分けが出来ます。
大きな芽が付く様に20〜30cmの長さに切って植えます。
庭植えの場合は15〜20cm間隔で種や株を植えましょう。
1-4. 日当り・水やり
鉢植えは1年中日当りが良い場所に置いてやりましょう。
庭植は、少し湿気がある場所に植えますが、水はけが悪いと白絹病が出やすいので、水はけが良くなかったら株元に土を盛ってやりましょう。
鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
庭植は、真夏に乾燥が激しい場合は水を与えますが、普段は雨で大丈夫です。
1-5. 肥料
鉢植えの場合は、5月〜7月に緩効性の化成肥料を与えます、鉢植えの場合は生育初期に肥料を多く与えると、株が大きくなり過ぎてしまうので、元肥入りの土を使って最初の花が咲くのを待ってから追肥をしましょう。
庭植の場合は、4月〜7月の間緩効性の化成肥料を与えます。
大きく育てたかったら、生育初期から肥料を与え続けます。
1-6. 害虫・病気
4月〜8月は特に新芽にアブラムシが発生しやすいです。
見つけ次第駆除しましょう。
アルミホイルを株元に敷いたり、アブラムシは黄色による性質があるので、サイサリスの近くに水を張った黄色いバケツを置いておくと、中に入って溺れ死にます。
オオニジュウヤホシテントウは6月〜8月に発生します。
見た目はテントウムシと同じですが、葉を食べて穴だらけにします。
葉が葉脈だけのレース状になる程食い尽くします。
見つけたら、捕獲して駆除しましょう。
サイサリスの病気は白絹病が挙げられます。
白絹病はカビに依る伝染病で、菌糸が網の様に張り、植物が枯れてしまう病気で、治し方がありません。
この病気は6月〜8月に多湿と高温に依って多発します。
まず、水はけを良くします。
もし、病気が発生したら、株とその周りの土ごと廃棄しましょう。
病気に罹らないようにするには、日光に充分当て、風通しを良くするようにしましょう。
2. サイサリスの花言葉
- 「偽り」
- 「ごまかし」
- 「欺瞞」
- 「心の平安」
- 「不思議」
- 「自然美」
2-1. 「偽り」
西洋でもサイサリスの花言葉は「decepution(ごまかし)」です。
これは、萼が大きいのに中は空洞部分が多くて実も小さいことから付いたとされています。
2-2. 「ごまかし」
こちらも「偽り」と同じ理由から付けられたようです。
サイサリスにとってはちょっと可哀想ですね。
2-3. 「欺瞞」
これもサイサリスの実が見掛け倒しであることから付いた花言葉です。
日本ではサイサリスは愛されていますから、西洋から来た花言葉のようです。
2-4. 「心の平安」
これは日本で付いた花言葉でしょう。
サイサリスの小さな白い花や風船の様なオレンジの萼や、その中の可愛い丸い実を見ていると、心がほっこりするからでしょう。
2-5. 「不思議」
確かにサイサリスは不思議な植物ですね。
実を守るように萼が伸びてきて実を包む植物はそうありません。
本当に不思議な植物ですね。
2-6. 「自然美」
可愛い白い花は中心部の緑と綺麗なコントラストを持っています。
そこから付いた花言葉の様な気がします。
また、花から実に変わっていく様、額の明るいオレンジ色も自然が作った面白さであることも、花言葉の由来ではないでしょうか。
3. サイサリスについて解説
- 英語での呼び名
- 原産地
- サイサリスの別名
- 食用や薬にもなるが要注意
- ほおずき市
3-1. 英語での呼び名
サイサリスの英語名は「Winter cherry」または「Ground cherry」です。
他に「Chainese lantam plant」や「husk tomato」とも言います。
因みに学名は「Physalis alkekengi」です。
3-2. 原産地
サイサリスの原産地は東南アジアです。
近縁種は南ヨーロッパやアメリカ大陸といった温帯地方で自生しています。
ホオズキ属の植物者南北アメリカに多く、ヨーロッパから中〜南部、西アジアから日本に掛けて100種ほどが分布しています。
観賞用や食用としても栽培されていますが、野生のものも存在します。
3-4. サイサリスの別名
- ほおずき
- 鬼灯(ホオズキ)
- 酸漿(サンショウ)
- 赤輝血(アカカガチ)
鬼が持つような灯り(提灯?)という見方は、暗かった昔なら納得出来ますね。
とても明るい灯りですね。
サイサリスの明るい提灯の様な姿は、お盆にはご先祖の霊を導く役目を果たすとされています。
それで、盆棚には枝付きでサイサリスを飾ります。
また、アカカガチの「カガチ」はヤマタノオロチの恐ろしい真っ赤な目の色が由来とされています。
3-5. 食用や薬にもなるが要注意
食べたり薬として用いられることでも知られていますが、腹痛を起こすことがあるので、身体に合うかどうかを慎重に見極める必要があります。
ヨーロッパでは昔から近縁種の「ショクヨウホオズキ」が食用として栽培されていました。
日本では秋田県上小阿仁村の特産品となっています。
また、北海道では1995年から由仁町、江別市等で生産されています。
山形県上山市では、上山明新館高校と協力してサイサリスを特産品化し、浴衣の似合う町作りの一環としてブランド化を図っています。
ここでは「ストロベリートマト」という名前で食用サイサリスを出荷しています。
また、生薬としては地下茎や根が「酸漿根(さんしょうこん)」として処方されています。
これは、平安時代から鎮静剤として使われていましたが、江戸時代には堕胎剤として利用されてもいました。
現在も咳や痰、解熱、冷え性に効果があるとされ、全草を干した後煎じて飲む地方が今でも存在します。
ただ、酸漿根には子宮を収縮させるヒストニンが含まれているので、妊娠中の女性が服用すると流産の恐れがあるので充分注意して下さい。
3-6. ほおずき市
7月9、10日に開かれる浅草寺のほおずき市ですが、山東京伝の「蜘蛛の色巻」に依れば、現在の東京都港区の武家屋敷に使えていた使用人が夢に、「翌朝(6月24日の功徳日)に庭で青ほおずきを見つけたら愛宕神社の神前でその実を飲みなさい。
大人は癪の種を切り、子供は虫の気を封ずる」という愛宕権現の霊夢を見ました。
使用人が夢の通りにすると効能があったので、いつしか「ご夢想の虫薬」として青ほおずきの市が愛宕神社の境内に立つようになりました。
更に、その6月24日が観音様の4万6千日の功徳日であったことから、浅草寺でもほおずき市が始まったと書いてあります。
それが、いつしか愛宕より盛大になったそうです。
4. サイサリスの名前の由来
英語名も「Winter cherry」や「Ground cherry」がサイサリスの名前ですが、日本では学名である「Physalis alkekengi」の初めの「フィサイリス」を取り、転じて「サイサリス」となったものと思われます。
因みに和名の「ホオズキ」は、子供の頬の様に赤いから、とかほおずき笛を吹く時に頬が膨らむからといった説が一般的ですが、他に「ホオ」というカメムシの1種がよく付くから等沢山の説があります。
5. サイサリスの誕生日花の日
7月7日・7月8日・7月9日・8月12日・8月14日・8月27日・11月12日・12月22日・12月29日です。
6. サイサリスの種類(原種・園芸品種)
- 丹波大実ホオズキ
- サンズンホオズキ
- ヨウラクホオズキ
- センナリホオズキ(原種)
- 食用ホオズキ
6-1. 丹波大実ホオズキ
ホオズキには産地ごとに系統が種々ありますが、この品種は特に実が大きく草丈も1m程に成長する大型品種です。
主に切り花用として用いられています。
6-2. サンズンホオズキ
名前の通り3寸(約10cm)位の小さな品種です。
実際は草丈15〜20cmあります。
小型なので鉢植えで育てるのに向いています。
6-3. ヨウラクホオズキ
普通のサイサリスは提灯の様な袋状になりますが、このヨウラクホオズキはなぎなたの刃の様な形になって下へ垂れ下がります。
その形から「ナギナタホオズキ」とも呼ばれます。
実は出来ないので、株分けで増やします。
6-4. センナリホオズキ(原種)
熱帯アメリカ原産の、珍しく1年草の品種です。
名前の通り、沢山の実を付けます。
しかし、実が熟しても赤くはならず淡い黄色のままです。
6-5. 食用ホオズキ
シマホオズキ(ゴールデンベリーホオズキ)(原種)
ペルーー原産で草丈が90〜120cmにもなります。
薄い黄色の実は独特の甘酸っぱさがあり、美容にも良いフルーツとして人気が高まっています。
ストロベリートマト
北アメリカから熱帯アメリカが原産の品種です。
実が完熟すると薄い褐色となり、中に2cm位の黄色い果肉が育ちます。
ベリー類に似た濃厚な味わいが特徴です。
オオブドウホオズキ(トマティーヨ)
メキシコ料理でよく使われる、南米原産の品種です。
実度い色の実は3〜5cm程で、味はトマトに似ています。
7. サイサリスに似た花(花言葉や特徴)
- イヌホオズキ
- ヒロハフウリンホオズキ
- オオバミゾホオズキ
- クロホオズキ(園芸品種)
- クロミホオズキ(黒実ホオズキ)
7-1. イヌホオズキ
ナス科ホオズキ属の花ですが、花と葉がサイサリスに似ているだけで、黒い実がなります。
萼が実を包むこともありません。
アルカロイドを含む毒草ですが、昔から間垣の全草を乾燥させて解熱や利尿等に利用されてきました。
花言葉:「真実」薬草として役に立つことから付いたと思われます。
「嘘・嘘つき」
これはサイサリスに似ているのに、実が付くとサイサリスとは似ても似つかなくなり、毒も含んでいるので付けられたようです。
誕生花:7月17日
7-2. ヒロハフウリンホオズキ
熱帯アメリカ原産の帰化種で1年草です。
ホオズキと名前が付いていますが、ヒロハフウリンホオズキの実は赤くならずに緑色のままです。
風に袋が揺れる様子からこの名が付いたと思われます。
しかし、萼が伸びて実を包む姿はホオズキと同じです。
花言葉:「可憐な愛」「恋の悩み」「誠実」
7-3. オオバミゾホオズキ
初夏に筒状の黄色い花を咲かせます。
葉が大きく、果実がホオズキに似ていることから「大葉清酸漿」と書きます。
花言葉:「純粋な人」
7-4. クロホオズキ(園芸品種)
南アフリカ原産のオオセンナリの園芸品種ですが、ホオズキの仲間ではありません。
ナス科ニカンドラ属の植物です。
花は青く、葉には小さな黒い点が入っています。
実は黒い萼に包まれます。
花言葉:「可憐な愛」
7-5. クロミホオズキ(黒実ホオズキ)
チリ・ペルー原産のナス科ホオズキ属の植物です。
白い花を付けますが、紫がかった黒い果実を付けるのが特徴です。
まとめ
日本ではサイサリスと呼ばれるより、ほおずきと呼ばれる方が馴染みがあるようですね。
しかし、サイサリスは海外でも観賞用や食用として親しまれています。
特に熱帯アメリカでは食用のサイサリスがよく食べられているようです。
日本でも、普通のサイサリスは苦いですが、食用の甘酸っぱいサイサリスの栽培が徐々に盛んになってきています、美容や健康にも良いということなので、これから益々人気が高くなってきそうですね。
平安時代から薬としても使われてきたサイサリスは日本ではとても身近な存在だったのですね。
それを食用に栽培した物ですから、安心でもあります。
町起こしとして使われるのもそうした、誰にとっても親しみやすい植物だからでしょう。
各所で行われるほおずき市に出かけるのも楽しいですが、自分で育てるのも楽しみですね。
手の掛からない植物ですから、オレンジ色の袋になる前の白い花から観賞してみませんか。